常任委員さんによる書籍紹介第三弾です。今月は3冊の紹介です。ご参考にどうぞ。
①あの坂をのぼれば −「小さな町の風景」〜坂のある風景〜より−
この本に集められた小さなお話の数々は、作者が生まれ育った町が教えてくれた風景が題材となった作品集です。
特に、印象に残っているのは「あの坂をのぼれば」で、この作品と出会いは、私が中学生の頃の国語の教科書でした。「あの坂をのぼれば、海が見える」のフレーズが今でもとても印象深く残っています。
当時、辛い時、「あの坂をのぼれば、海が見える」と呪文のように唱えていました。そうすると、不思議とどんな事でも乗り越えられる気がしたものです。
物語は、少年が海を目指すというもの。やりたくてやれない事の数々の重荷が背に積もった時、幼い頃、祖母から子守唄のように聞かされた「あの山をひとちこえれば、海が見えるんだよ。」
という言葉を信じ、海を目指し、歩き続けるのです。のぼってものぼっても海は見えてこない。それでも呪文のように唱えながらのぼって行く。「あの坂をのぼれば、海が見える。」と。
諦めそうになった時、少年の頭上を大きな海鳥が一羽、ゆっくりと羽ばたいて、つぎの峠をこえて行きます。そして、少年の掌の中に、一片の真っ白な海鳥の羽根が舞い降りて・・・。
少年の海を目指し続ける強い信念、どんなに困難で苦しくても、希望を持ち最後まで諦めなず目標に向かう姿、この物語を知っている人にも知らない人にも、是非読んでほしい作品です。
時には、教科書に載っている作品を読み返してみるのもお薦めですよ。
小さな町の風景
杉 みき子作
偕成社文庫
②続々ざんねんないきもの事典
今泉忠明 作
高橋書店
ミリオンセラーになった『ざんねんないきもの事典』のシリーズ3作目です。
残念な生き物についに人間が登場します。
人間以外の動物から見ると、かなり残念な人間という生き物。でも、短所を長所に変えて進化し生き残ってきたのです。
欠陥だらけの生き物たちの進化は、笑えてさらに勇気をもらえます。
大人にもおすすめです。
③いま君に伝えたいお金の話
村上世彰 作
幻冬舎
一時世間を騒がせた、村上ファンドの村上世彰さんが、子どもに語りかけるように、とても分かりやすくお金の話を進めてくれます。
正しくお金を使うとはどういうことなのか?自分のため、家族のため、他人のため。
正しいお金の使い方には順番があります。お金を使う『意味』を改めて考えさせられます。子どもだけでなく大人にも読んでほしい本です。