朝比奈あすか 角川書店
ふと書店に立ち寄った際に目にした本の帯にあった、「教室がすべてだったあの頃の、まぶしさとしんどさがよみがえる。」と言う一文に惹かれ読み始めた本です。
舞台は公立の小学6年生の教室です。全く違うタイプの4人の生徒がそれぞれ主人公となり全4章の物語が進んで行きます。自分のクラスでの立ち位置に悩み、居場所で苦しみ、迷いながらも、もうすぐ中学生という希望を持って卒業までを過ごします。
「小学校のクラス」は自分が大人になった今ならとても閉鎖的で小さな小さな世界での出来事だとわかるのですが、子供のころはそれがとてつもなく大きな世界でした。とてもリアルなお話です。
また、最後のエピローグでは物語に出て来た子供が大人になり、その小学校に先生として赴任してきます。そこでの一言がとても印象的でした。
あの頃の自分に大丈夫だよ!!と言ってあげたくなる一冊です。
余談ですが、この作品は様々な学校の入試に出題されています。国語入試頻出作家です。是非読んでみてください。
安東みきえ 講談社
これは主人公の中学生灯子と彼女を取り巻く人々との1年間を、不思議な出来事と絡めながら進めていく連作短編集です。
なんとなく怖いような、不思議なような、でもホラーとは少し違う。目に見えないものと触れ合うことのできるような少し奇妙で優しい、夕暮れ時の何とも言えない不思議な雰囲気を感じる物語です。
作者の安東みきえは児童文学作品や絵本作家として活躍しており、とても読みやすい作品を書きます。この作品も例に漏れずとても読みやすいので、スラスラと読み進めることが出来ました。
友人関係に悩んでいる灯子の様子は私自身が中学生だった頃と重なる部分もあり懐かし気持ちになりました。当時の期待と不安に満ちた瑞々しい気持ちが鮮明に描かれています。大人になった今では感じることのできない感覚を思い出させてくれる、そんな一冊です