著者 外山滋比古
書名 『思考の整理学』
出版社 筑摩書房
発売年 1986年 文庫化初版(ちくま文庫)
~時代を超えた名著。人生の岐路で思考整理に迷った時に~
第一刷発行が1986年の著作なので、描写にはところどころ「昭和感」があります。
ただ、エッセンスは今も全く古さを感じさせず、時代を超えた生きるヒント、考えるヒントをもらえる一冊です。
コンパクトな話が寄り集まっている本書。中でも特におすすめなのは、「とにかく書いてみる」と「すてる」。
・「とにかく書いてみる」
高校生のみなさんは、これから進学や就職をはじめとする人生の岐路で、自分の考えを整理し、伝える場面に何度も直面するはずです。そんな時に、何を伝えようかと悩み迷うならば、思考の迷路に入る前にまずは書いてみるという本書の教えをだまされたと思ってお試しください。書いているうちに思考が立体的になって考えが筋道立てて整ってくる感覚は、私自身も常日頃体感しています。この著書の中では手書きが前提ですが、キーボードを打つことでも同様の思考の立体化や整理が可能です。
・「すてる」
少し前に断捨離が流行り、現在はミニマリストが世に溢れています。とはいえ、片っ端からモノを捨てれば空間はすっきりはするけれど、同時に頭もからっぽになるのでは困ります。整理には理性と知性が必要です。
「すてる」の項目では、整理することは簡単ではないこと、知識に関して言えば忘却は自然の廃棄、意識的に捨てる作業が整理、とまとめられています。確かに。そして、整理にはまずは分類、そして自分の「価値のものさし」が必要であると、書かれています。「価値のものさし」がはっきりしないで捨てる作業をするとついうっかり必要なものを処分してしまうと。読みながら、今までの失敗の数々を思い出してしまいました。
以上、本書の中から特に2項目をおすすめします。
これから人生を切り拓いていく若い皆さんの助けになれば幸いです。